【いしのまき演劇祭対談③】作品紹介 genten「赤鬼」

「何か演劇祭っぽい企画を…」といって行われた、いしのまき演劇祭の参加団体の代表による対談。

それぞれの作品の見どころや内容を紹介していただきました。

 

3番目は、ゲスト参加団体の「genten」。

多摩美術大学の有志団体として立ち上がったgentenが、いしのまきでどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。

 

主宰の石川さんにお話を伺いました。


語り手:

石川朝日(genten)

アシモ(genten)

都甲マリ子(スイミーは まだ 旅の途中)

矢口龍汰(「R」)

北村耕治(猫の会)

菊池佳南(コマイぬ)

 

都甲「じゃあ赤鬼を」

 

 

矢口「genten」

 

 

石川「genten『赤鬼』

『赤鬼』のあらすじですよね」

 

 

都甲「あらすじ、そうですね。

作品を紹介していただけると」

 

 

石川「そうですね、赤鬼の話自体は

ある島の浜の集落に赤鬼がやってくるって話なんですけど。

 

簡単に言うと『差別』と『被差別』の話だったり

浜っていう集落の閉鎖された状態だったり。

 

それこそ、差別はどこから起こるのか、

みたいな。

 

どこまでが差別なのか、

被差別の差別意識みたいなところとか、

そういう『差別』のテーマをあつかってる本というか内容ですね」

都甲「なんでその本になったんですか」

 

 

石川「4人芝居なんですよ、もともとその赤鬼は。

 

今回(役者が)4人っていうのがすごくやりやすかったのと、

僕はもともと差別とか差別される側とかに興味があって。

 

(人はお互いに)差別されてるけど、差別してるじゃないですか。

逆に差別してるけど、されてるし。

 

 

そういう永遠のループが自分にはすごくヒットするものがあって。

 

赤鬼のテーマと自分のやりたいことがすごく近いなって思って、

赤鬼にしたってのがすごくあります。

 

 

あと、野田秀樹さんが書いたんですけど、

野田秀樹の香りが少ないんですよ(笑)

 

うちの大学の教授が野田秀樹なんですけど、

野田さんの本が面白いってのはすごく分かるんですけど、

『野田秀樹』すぎて触れない感じはあって……」

 

 

菊池「『野田秀樹すぎるー』

『(野田秀樹の)まねになっちゃうー』みたいな?」

 

 

石川「そう、まねになっちゃうみたいなこと。

結局それ(野田秀樹的な表現)以外の表現がない気がして。

 

赤鬼っていう台本は、

そういう『野田秀樹臭』みたいなのがすごく少ない気がして、

永遠に出来そうな感じがします。

 

シェイクスピアの本じゃないけど、

永遠に繋がっていきそうな本ではあります。

 

テーマというか、書かれてることもそうだし」

 

 

北村「古典として残っていきそう、みたいな?」

 

 

石川「そう、残っていきそうな雰囲気がするなって、

自分で思っています。」

都甲「俳優は4人なんですか」

 

 

石川「俳優が4人です。

あと(演出の)田中さんといま稽古場でがんばってます。

 

4人の俳優でかなり多くの役、

20役ぐらいを回していくんですよ。

すごくそれがいま、大変です」

 

 

都甲「全部フルでやるんですか」

 

 

石川「全部フルでやります。

 

4人で100分やるっていうのは、

こんだけ体力のいることなんだって

すごく思い知らされています」

 

 

都甲「エネルギーのいる台本だよね」

 

 

石川「いるいる、ほんとに」

 

 

都甲「疲れそう(笑)」

 

 

菊池「観るほうも、うわあーってなりそう」

 

 

北村「さっきも話してたけど、

石巻って演劇をあまり見たことのないお客さんも沢山来てくださるじゃない。

 

そういう方たちにそういう、

4人で何十人もの役をこなしていくような劇って

どういう風に受け入れられるのかな」

 

 

石川「そうですね」

 

 

菊池「楽しみだし怖いとこだよね」

 

 

石川「たしかに」

 

 

都甲「(舞台上で)何が起こってるのか分からないかもしれない」

 

 

石川「そうですよね」

 

 

菊池「ただただ圧倒されるかもしれない」

 

 

都甲「これはなんだろう、みたいな」

矢口「俺がちょっと楽しみなのは、

その内容もなんですけど、

学生さんが4人で来て石巻で芝居やって、

それの前後の過ごし方ですね。

 

北村さんだと酒飲んで魚介類食べて、たけど。

 

gentenの座組が石巻を)どう楽しんでってくれるんだろうっていうのも

すごく楽しみですね。

 

すぐ帰んないで楽しんでってください。

夏休みだし遊んでってさ」

 

 

石川「ありがとうございます」

 

 

都甲「gentenで夢まき座さんの芝居を観に行くプランがあるんですよね?」

(※genten公演は16日(土)、17日(日)の夜。公演の合間に17日の日中に行われる夢まき座の公演を観に行く予定)

 

 

石川「ありますあります」

 

 

矢口「そっかそっか。

『赤鬼』が『王様』を観に行くんだね」

 

 

都甲「いいですね。

夢まき座さんは60代くらいのお姉さま方とあと高校生が」

 

 

北村「あ、高校生もいるんだ」

 

 

都甲「高校生いますね最近。

ていう劇団で、不思議なハーモニーを奏でてます」

 

 

石川「不思議、楽しみだな。」

石川「赤鬼、あとはなんですかね、何話せばいいかな」

 

 

矢口「みどころ、

観て、これを読んでるひとが観たときの

『あれそうだったんだ』みたいなことがわかるところとか」

 

 

アシモ「ぼくからいいですか」

 

 

石川「あ、じゃあお願いします」

 

 

アシモ「ぼくがみどころだと思う、

観たひととしてのあれなんですけど。

 

多摩美術大学の講師のひとたちは現役でやってらっしゃる方々で、

(アートシーンの)前線でいまパフォーマンスをしてたり、

術を知ってたりっていう方々なんですよ。

 

学生はそういうひとたちから学んでいて、

そのエッセンスをさらに実践する場としてgentenは活動というか

そういう稽古の仕方をしてるんですけど。

 

ぼくは多摩美ではないので、(※アシモは演出家の田中のアシスタントとしてgentenに参加している)

(役者たちが)3年間築きあげてきた共通言語みたいなのが、

ぼくには理解が出来ないんですけど。

 

ニュアンスの共有だったりだとか、

ぼくが聞いたらわかんないけど、

役者の4人が3年間築きあげてきたニュアンスで、こういうことをやろうみたいな

共通意識だったり、その強みを感じます」

アシモ「しかもそれはもともと多摩美で教えてくださってる先生方が

いま使っている、昔から築き上げてきたもの、

これだけは信じてやってるっていうものを

生徒さんたちに教えてるっていうもので。

 

そういった武器の強みというか、

共通言語のひとつひとつの強さと、

それの豊富さみたいなのは

すごく稽古をみててすごく感じることですね。

 

それが本編に表れているかは、役者のみなさんにがんばってもらいたいんですけど。

いまの段階ではそれがすごく面白いなって、思います」

 

 

石川「ありがとうございます」

 

 

アシモ「とんでもないです」

 

 

都甲「高度な洞察力を」

 

 

アシモ「いやいや」

 

 

北村「アシモいいやつだな」

 

 

アシモ「ありがとうございます」

 

 

矢口「高校生たちに観て欲しいね」

 

 

アシモ「あ、そうですね」

 

 

菊池「うん、観て欲しい」

 

 

矢口「演劇部の高校生とか」

 

 

都甲「あの、持って行きどころがない若いひとっているんですよ。

いろんな情熱をぶつける選択肢を見つけられないでいるひとっていうのは

石巻にたくさんいると思うんです。

 

高校生はとくに多いんじゃないかなあと思います。

そういうひとが自由に進路を選べるとは限らないので、

美大に行きたいと思ってるひとがそのまま就職する可能性もあるし。

 

そういうひとたちがその後も、地元で幸せに生きていけるようにね、なるといいなあと」

 

 

菊池「東京で最前線のパフォーマーのエッセンスをこんだけ詰めて、

若者がやるとこうなるんだぞーっみたいなの。

 

すごいある意味でめっちゃ尖った部分、最先端な部分

東京の最先端を(gentenは)ある意味いってるかもしれない」

 

 

都甲「gentenが(今回の演劇祭で)もっともガリガリした集団ですね」

 

 

北村「ほんと同年代のひと見てくれるといいね」

 

 

石川「もうほんとそうですね」

 

 

北村「あのひと同い年なんだとかね、思うだろうね」

 

 

菊池「思うだろうね、絶対。刺激になると思う」

 

 

石川「そうですね、同年代とか見て欲しいですね確かに」

 

 

矢口「刺激になる」

 

 

都甲「ああなんか、いい話になったなあ。

よかったよかった(笑)」    

 

 

 

ありがとうございました。

「genten」の公演は

7月16日(土)、17日(日)に多目的ホール第3ステージにて行われます。

ぜひみなさま、会場にお越しくださいね。